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感染症情報
その他
- 2019.09.10
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感染症情報(令和元年9月10日)
RSウイルス感染症流行の兆し
RSウイルス
RSウイルス(以下RSV)は、例年冬季に流行しますが、最近は夏季~秋季の流行が観察されるようになりました。本年もその兆しが見られます。
1歳までに60%、2歳までにほぼ100%の乳幼児が罹患するといわれています。初回の感染では、20%前後が下気道炎(細気管支炎や肺炎など)に至り、全乳幼児の1~2%(全国で2万人前後)が入院加療を受けるとされています。1回かかっても何度もかかりますが、徐々に症状は軽くなり、幼児後半~学童では上気道炎(鼻汁や咽頭炎など)のみで終わります。
診断方法
RSV抗原を検出するキットで診断できますが、保険適用は1歳未満に限られており、次項に記載するように特異的な治療法がないため、診断意義がある場合に限って行われます。
治療法
RSVに直接効く薬はありません。従って、痰を出しやすくする薬や炎症を抑える薬などを使いながら、経過を見ていくことになります。
水分が取れたり、睡眠が確保できる場合は通院して様子を見ていきますが、吐いたり、ゼーゼーして眠れない場合などは入院して治療する場合もあります。ほとんどが数日から1週間ほどで軽快しますが、乳児早期ほど重症化することがあるので、お子さんの様子を観察して心配があれば早めに主治医に相談してください。
予防法
RSV感染症の重症化を防ぐ方法として、中和作用を有する抗体製剤の注射があります。
早産時、先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全などRSV感染による重篤な下気道疾患を発症するリスクが高い乳幼児が保険適用の対象となります。