皆様には、自分、そして社会を守るために、それぞれが役割を果たしていただくようにお願いいたします。
(1)「3つの密」を避けるため以下の取り組みを徹底しましょう
・「3つの密」をできる限り避けることは、自身の感染リスクを下げるだけでなく、多くの人々の重症化を食い止め、命を救うことに繋がります。
・人込みや近距離での会話、特に大きな声を出すことや歌うことを避けましょう。
・「3つの密」がより濃厚な形で重なる夜の街において、
① 夜間から早朝にかけて営業しているバー、ナイトクラブなど、接客を伴う飲食店業の出入りを控えましょう。
② カラオケ・ライブハウスへの出入りを控えましょう。
・ジム、卓球など呼気が激しくなる室内運動の場面で集団感染が生じています。
・「密」の状況が一つでもある場合には普段以上に手洗いや咳エチケットをはじめとした基本的な感染症対策を徹底しましょう。
(2)自分が患者になった時の受診行動について
受診基準に達するような体調の変化が続いた場合に、どこに連絡してどのような交通手段で病院に行けばいいのか、自分が患者になった時、どのように行動すべきか、事前に調べて理解しておき、家族や近しい人々と共有しましょう。
詳しくは「松本市ホームページの新型コロナウイルス感染症」をご覧ください。
(「新型コロナウイルス感染症の状況分析・提言」(2020年4月1日)から引用)
*松本市民の団結力でこの困難を乗り越えましょう*
松本市医師会感染症対策委員
]]>例年1月下旬ころがピークとなります。
インフルエンザのタイプ
2017/2018シーズンはB型が主流となる珍しいシーズンでしたが、2018/2019シーズンはAH1pdm09亜型(2009年に新型として流行したタイプ)とAH3亜型(いわゆる香港型)が主流でした。今シーズンは今のところA型が優位ですがB型も同時に報告されています。
インフルエンザの予防
ワクチンは完全に感染を防ぐことはできませんが、罹患しても症状を和らげる効果があります。日頃の感染予防として、外出後の手洗いやうがい、室内の加湿(特に就寝時)、十分な睡眠、バランスのとれた食事などを心がけてウイルスを追い払いましょう。
インフルエンザの診断
急激な発熱や倦怠感などがある場合は、保育園、幼稚園や学校などはお休みし、熱が続く場合には医療機関を受診しましょう。迅速検査で診断することができますが、発症からの時間が短い場合など正確な結果が出ない場合もあります。その場合は、症状や周囲の状況から判断する場合もあります。
治療
インフルエンザは、自然治癒を期待できる病気ですが、合併症を避けるため、あるいは、早めに症状を改善させるため、抗インフルエンザ薬を使います。抗インフルエンザ薬として、飲み薬や吸入するタイプなど数種類の治療薬があります。その時の状態にあった薬(嘔気がある場合は吸入、咳が激しくて吸入できない場合は内服など)を選択するとよいでしょう。最近登場した、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤であるバロキサビルマルボキシル(商品名ゾフルーザ)は、薬剤耐性ウイルスが検出されており、使用に当たっては慎重に判断すべきであり、特に12歳以下の小児への使用は推奨されていませんので注意してください。
また、治療の有無にかかわらず、インフルエンザ発症後に異常行動が出る場合があるため、特に10歳代のお子さんは、事故やけがなどのないよう十分に注意してください。
登校登園の目安
発熱の翌日から5日間、かつ、2日間(未就学児は3日間)平熱が続くまではお休みしてください。
RSウイルス
RSウイルス(以下RSV)は、例年冬季に流行しますが、最近は夏季~秋季の流行が観察されるようになりました。本年もその兆しが見られます。
1歳までに60%、2歳までにほぼ100%の乳幼児が罹患するといわれています。初回の感染では、20%前後が下気道炎(細気管支炎や肺炎など)に至り、全乳幼児の1~2%(全国で2万人前後)が入院加療を受けるとされています。1回かかっても何度もかかりますが、徐々に症状は軽くなり、幼児後半~学童では上気道炎(鼻汁や咽頭炎など)のみで終わります。
診断方法
RSV抗原を検出するキットで診断できますが、保険適用は1歳未満に限られており、次項に記載するように特異的な治療法がないため、診断意義がある場合に限って行われます。
治療法
RSVに直接効く薬はありません。従って、痰を出しやすくする薬や炎症を抑える薬などを使いながら、経過を見ていくことになります。
水分が取れたり、睡眠が確保できる場合は通院して様子を見ていきますが、吐いたり、ゼーゼーして眠れない場合などは入院して治療する場合もあります。ほとんどが数日から1週間ほどで軽快しますが、乳児早期ほど重症化することがあるので、お子さんの様子を観察して心配があれば早めに主治医に相談してください。
予防法
RSV感染症の重症化を防ぐ方法として、中和作用を有する抗体製剤の注射があります。
早産時、先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全などRSV感染による重篤な下気道疾患を発症するリスクが高い乳幼児が保険適用の対象となります。
手足口病とは、
その名の通り、手足や口に小さな水疱性発疹ができる急性ウイルス感染症です。
コクサッキーA16(CA16)、CA6、エンテロウイルス71(EV71)などのエンテロウイルスが原因となり、飛沫感染や、経口感染、水疱内容物からの感染などで伝播します。
3~5日の潜伏期をおいて、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2-3mmの水疱性発疹が出現します(肘、膝、臀部などに出現することもある)。発熱は約1/3に見られますが軽度で、38℃以下のことがほとんどです。通常は3~7日の経過で消退します。まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎、急性弛緩性麻痺などの中枢神経合併症を生ずることがあり、近年アジアにおいて報告が相次いでいます。また、CA6による手足口病の場合、発症後数週間後に爪脱落が起こることもあります。
特異的な治療法はありません。
柔らかめで薄味の食べ物を勧める、水分を十分取るなどして水分不足にならないようにしましょう。しかし、元気がない、頭痛、嘔吐、2日以上続く高熱などの場合は早めに医療機関を受診してください。
予防が重要です。
感染者との濃厚な接触を避け、手洗いうがいの励行、特に排便後の手洗いを徹底しましょう。
学校で予防すべき伝染病に含まれていません。
主症状から回復した後もウイルスは長期にわたって排泄されるので、急性期のみ登校登園停止を行っても流行阻止は期待できないためです。発疹が残っていても、熱がなく元気で食事をとれていれば登園できます。
(国立感染症研究所ホームページから一部抜粋)
年明け早々、インフルエンザが流行してきました。
「インフルエンザ」は、普通のかぜ症状(発熱、咳、鼻汁、咽頭痛)よりも症状の出現が急激で、重いのが特徴的です。1~5日の潜伏期間の後、高熱や関節痛、筋肉痛などの全身症状が急に現れます。
<感染経路と予防>
咳、くしゃみ、唾液などによる「飛沫感染」や「接触感染」が主な感染経路です。予防法としては、マスクの着用、外出や帰宅後の手洗い、うがい、着替え、部屋の加湿、十分な休養とバランスのとれた栄養、人混みへの外出を控えるなどが挙げられます。
ワクチンは効果が出るまでに接種後2から4週間ほどかかります。小児は2から4週の間隔で、2回接種が必要です。
<診断>
周囲の流行と症状により診断する場合もありますが、多くの医療機関では迅速診断キットを利用しています。ただし、発症から検査までの時間が短いと、検査の陽性率が低いことがありますので注意が必要です。
<治療>
インフルエンザに対する抗ウイルス薬としては下記の4種類があります(以下商品名)。
①タミフル
②リレンザ
③イナビル
④ラピアクタ
⑤ゾフルーザ
薬の選択は、インフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状、年齢により異なります。
<出席停止について>
「発症した後(発熱の翌日を1日目として)5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と学校保健安全法で決められています。
「解熱した後 2 日を経過するまで」とは、熱がさがった日を0日とし、熱がまったくない日を2日間経過して、3日目(保育園、幼稚園は4日目)から出席可能なことをさします。
<インフルエンザにかかったら?自宅でできること>
①安静にして、休養をとりましょう。
②水分を十分に補給しましょう。
③咳やくしゃみ等の症状のある時は、周りの方へうつさないために、不織布製マスクを着用しましょう。
④人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにしましょう。
また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異常行動を起こすおそれがあるので、少なくとも発症から2日間、小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。
冬季に流行する、RSウイルスによる呼吸器感染症です。一般的に流行のピークは11月から1月ですが、松本近郊でも流行が始まりました。
生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスの初感染を受けます。生涯、何回も繰り返し感染を受けます。
<症状>
4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻水、咳などの症状が数日から2週間程度続きます。
成人や年長児は、咳、鼻汁の風邪症状ですむ方が大勢います。しかし、0, 1歳の初めてRSウイルスに感染した児、特に早産児、生後3か月以内、心臓や肺に病気をもつ乳児、免疫不全が存在する児は、重症化のリスクがあります。
重症化すると、肺炎や細気管支炎を起こします。細気管支炎の例ではゼーゼーいう、呼吸が早いなどの呼吸困難を呈します。さらに重篤な合併症として、無呼吸発作や急性脳症が知られています。
<感染経路>
RSウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。他のウイルス感染症にも共通ですが、うがい、手洗いが予防になります。
咳、鼻汁があると感じた方は、マスクの着用や、咳をするときに手やハンカチを口にあてるなどの咳エチケットを行いましょう。
<治療>
特効薬である抗ウイルス薬や、感染を予防するためのワクチンはありません。症状に応じた治療を行います。細気管支炎や肺炎を合併した児は、入院が必要になる場合もあります。かかりつけの医師と相談し、重症化のサインを見逃さないようにしましょう。
松本市周辺で、夏かぜの一種である「ヘルパンギーナ」が流行しています。
ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎です。
乳幼児を中心に夏季に流行します。いわゆる夏かぜの代表的疾患です。
<原因ウイルス>
コクサッキーA型ウイルスが主な病因であり、2、3、4、5、6、10型などの血清型が分離されます。またコクサッキーB型ウイルス、エコーウイルスなどが関係することもあります。
<症状>
2~4 日の潜伏期を経過し、突然の発熱に続いて咽頭痛が出現します。
発熱は2〜4日間程度つづきます。咽頭は発赤し、水疱、口内炎を伴います。
発熱時に熱性けいれんを伴うことや、咽頭痛のため、不機嫌、食欲不振、水分接種が不十分になる場合があります。
ほとんどは予後良好ですが、まれに髄膜炎、脳炎や心筋炎などの合併症を引き起こすこともあります。
<感染経路>
咳やくしゃみからウイルスを吸いこんだり、便中からウイルスが口に入ることで感染します。症状が治まった後も、2~4週間は便の中にウイルスが含まれています。
<予防>
ワクチンや予防薬はありません。
一般的な感染予防、すなわち、こまめな手洗い、とくにトイレやオムツ交換の後、食事の前などに手洗いを心がけることが必要です。タオルの共用は避けましょう。マスクエチケットも大切です。
<治療>
ウイルスに直接効く特効薬はありません。熱や痛みをやわらげる解熱鎮痛剤などが処方されます。
発熱、元気のよさ、食事摂取量などの症状によって注意事項や対処法が異なるので、日常生活の過ごし方や次の受診のタイミングなどをかかりつけ医と相談しましょう。
診断されたあとも、次のような場合はすみやかに受診してください。
Ø 口のなかの痛みが強く、水分をあまり取らない
Ø 高い熱が3日以上続く
Ø 元気がなくぐったりしている
Ø 吐いたり頭を痛がる
<登校基準>
本人の全身状態が安定している場合(発熱がなく、普段の食事ができること)は、登校・登園が可能です。手洗い(特に排便後、排泄物の後始末後)を行うことが重要です。
12月に入り、皆様お忙しい頃と思います。今年度もインフルエンザの本格的な流行が始まりました。
「インフルエンザ」は、普通のかぜ症状(咳、鼻汁、咽頭痛)よりも症状の出現が急激で、重いのが特徴的です。1~5日の潜伏期間の後、高熱や関節痛、筋肉痛などの全身症状が急に現れます。
感染経路と予防
咳、くしゃみ、唾液などによる「飛沫感染」や「接触感染」が主な感染経路です。予防法としては、マスクの着用、外出や帰宅後の手洗い、うがい、着替え、部屋の加湿、十分な休養とバランスのとれた栄養、人混みへの外出を控えるなどが挙げられます。
ワクチンは効果が出るまでに接種後2から4週間ほどかかります。小児は2から4週の間隔で、2回接種が必要です。
診断
周囲の流行と症状により診断する場合もありますが、多くの医療機関では迅速診断キットを利用しています。ただし、発症から検査までの時間が短いと、検査の陽性率が低いことがありますので注意が必要です。
治療
インフルエンザに対する抗ウイルス薬としては下記の4種類があります(以下商品名)。
①タミフル
②リレンザ
③イナビル
④ラピアクタ
薬の選択は、インフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状、年齢により異なります。
出席停止について
「発症した後(発熱の翌日を1日目として)5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と学校保健安全法で決められています。
「解熱した後 2 日を経過するまで」とは、熱がさがった日を0日とし、熱がまったくない日を2日間経過して、3日目(保育園、幼稚園は4日目)から出席可能なことをさします。
インフルエンザにかかったら?自宅でできること。
①安静にして、休養をとりましょう。
②水分を十分に補給しましょう。
③咳やくしゃみ等の症状のある時は、周りの方へうつさないために、不織布製マスクを着用しましょう。
④人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにしましょう。
また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異常行動を起こすおそれがあるので、少なくとも発症から2日間、小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。
松本市医師会感染症対策委員会副委員長 水野 史
RSウイルス感染症の流行がはじまりました!!
冬季に流行する、RSウイルスによる呼吸器感染症です。一般的に流行のピークは11月から1月ですが、今年は全国的に例年より早く、8月下旬から散見されていました。松本近郊でも本格的な流行が始まりました。
生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスの初感染を受けます。生涯、何回も繰り返し感染を受けます。
<症状>
4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻水、咳などの症状が数日から2週間程度続きます。成人では、いわゆる風邪症状です。
重たくなると肺炎や細気管支炎を起こします。細気管支炎の例ではゼーゼーいう、呼吸が早いなどの呼吸困難を呈します。
さらに重篤な合併症として、無呼吸発作や急性脳症が知られています。
早産児、生後3か月以内、心臓や肺に病気をもつ乳児、免疫不全が存在する児は、重症化のリスクがあります。
<感染経路>
RSウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。他のウイルス感染症にも共通ですが、うがい、手洗いが予防になります。
咳、鼻汁があると感じた方は、マスクの着用や、咳をするときに手やハンカチを口にあてるなどの咳エチケットを行いましょう。
<治療>
特効薬である抗ウイルス薬、予防のワクチンはありません。症状に応じた治療を行います。細気管支炎や肺炎を合併した児は、入院が必要になる場合もあります。 かかりつけの医師と相談し、重症化のサインを見逃さないようにしましょう。
松本市医師会感染症対策委員会副委員長 水野 史
]]> 松本市周辺で、夏かぜの一種である「手足口病」と「ヘルパンギーナ」が増加してきました。
<原因ウイルス>
主としてエンテロウイルス71(EV71)型、コクサッキーウイルスA16(CA16)型の流行が繰り返されていましたが、近年はコクサッキーウイルスA6(CA6)型が流行しています。新しいタイプのウイルスが出現するため、1シーズンに2回かかったり、免疫をもっていない成人がかかる可能性があります。
<症状>
手の平、足の裏に発疹・水疱、口の中に口内炎ができます。発疹は、肘、膝、おしりまでおよぶ場合もあります。CA6型は、発症初期から39度近い高熱が出て、発疹自体も大きくて全身に広く出てくるという違いがあります。手、足、口の水疱は少なく、水ぼうそうとの区別が困難なケースもあります。罹患後3〜4週後に爪の変化(層状の白線が入る、爪が脱落する)が見られた例がありました。
<感染経路>
咳やくしゃみからウイルスを吸いこんだり、破れた水疱や便中からウイルスが口に入ることで感染します。症状が治まった後も、2~4週間は便の中にウイルスが含まれています。
<予防>
ワクチンや予防薬はありません。
一般的な感染予防、すなわち、こまめな手洗い、とくにトイレやオムツ交換の後、食事の前などに手洗いを心がけることが必要です。タオルの共用は避けましょう。マスクエチケットも大切です。
<治療>
手足口病には治療薬はありません。熱や痛みをやわらげる解熱鎮痛剤などが処方されます。
発熱、元気のよさ、食事摂取量などの症状によって注意事項や対処法が異なるので、日常生活の過ごし方や次の受診のタイミングなどをかかりつけ医と相談しましょう。
診断されたあとも、次のような場合はすみやかに受診してください。
Ø 口のなかの痛みが強く、水分をあまり取らない
Ø 高い熱が3日以上続く
Ø 元気がなくぐったりしている
Ø 吐いたり頭を痛がる
<登校基準>
本人の全身状態が安定している場合(発熱がなく、普段の食事ができること)は、登校・登園が可能です。手洗い(特に排便後、排泄物の後始末後)を行うことが重要です。
松本市医師会感染症委員会 副委員長 水野 史
アデノウイルスによる咽頭結膜熱が流行しています!
咽頭結膜熱は発熱、咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症です。アデノウイルスが原因です。夏期=プールの時期に流行するので、プール熱とも呼ばれます。
<感染経路>
通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染であり、結膜あるいは上気道から感染します。十分な塩素消毒下のプールの水ではウイルスは死滅しますが、タオル等の共同利用は感染源になります。
アデノウイルスは50種類以上の型が報告されています。咽頭炎から肺炎などの呼吸器疾患、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎などの眼疾患、胃腸炎などの消化器疾患、出血性膀胱炎などの泌尿器疾患から、肝炎、膵炎から脳炎にいたるまで、多彩な臨床症状を引き起こします。
咽頭結膜熱の流行をおこすのは多くは3型ですが、4型、7型、また2型、11型など他の型による場合もあります。
<症状・診断>
典型例では、3〜7日間続く高熱とそれに伴う咽頭炎や結膜炎の症状です。午前中は解熱し、夕方から夜にかけて発熱する傾向があるため、食欲や全身状態は比較的良好に保たれます。
診断にウイルス抗原検出キットを利用する場合があります。
<治療・予防>
特異的治療法はなく、対症療法が中心です。
ワクチンはなく、予防は感染者との密接な接触を避けることと、流行時にうがいや、手指に対しては流水と石鹸による手洗いを行います。消毒用エタノールの消毒効果は弱いことが知られています。
<学校保健法における取り扱い>
学校安全法では、第二種伝染病に位置づけられており、主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とされています。
松本市医師会感染症委員会 副委員長 水野 史
]]>
年末になり、皆様お忙しい頃と思います。今年度は、例年より早くインフルエンザの本格的な流行が始まりました。
「インフルエンザ」は、普通のかぜ症状(咳、鼻汁、咽頭痛)よりも症状の出現が急激で、重いのが特徴的です。1~5日の潜伏期間の後、高熱や関節痛、筋肉痛などの全身症状が急に現れます。
感染経路と予防
咳、くしゃみ、唾液などによる「飛沫感染」や「接触感染」が主な感染経路です。予防法としては、マスクの着用、外出や帰宅後の手洗い、うがい、着替え、部屋の加湿、十分な休養とバランスのとれた栄養、人混みへの外出を控えるなどが挙げられます。
ワクチンは効果が出るまでに接種後2から4週間ほどかかります。小児は2から4週の間隔で、2回接種が必要です。
診断
周囲の流行と症状により診断する場合もありますが、多くの医療機関では迅速診断キットを利用しています。ただし、この場合発症から検査までの時間が短いと、陽性率が低いことがありますので注意が必要です。
治療
インフルエンザに対する抗ウイルス薬としては下記の4種類があります(以下商品名)。
①タミフル
②リレンザ
③イナビル
④ラピアクタ
薬の選択は、インフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状、年齢により異なります。
出席停止について
「発症した後(発熱の翌日を1日目として)5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と学校保健安全法で決められています。
「解熱した後 2 日を経過するまで」とは、熱がさがった日を0日とし、熱がまったくない日を2日間経過して、3日目(保育園、幼稚園は4日目)から出席可能なことをさします。
インフルエンザにかかったら?自宅でできること。
①安静にして、休養をとりましょう。
②水分を十分に補給しましょう。
③咳やくしゃみ等の症状のある時は、周りの方へうつさないために、不織布製マスクを着用しましょう。
④人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにしましょう。
また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異常行動を起こすおそれがあるので、少なくとも発症から2日間、小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。
松本市医師会感染症対策委員会 副委員長 水野 史
RSウイルス感染症に注意!!
松本市内で、RSウイルス感染症の流行が始まりました。
RSウイルスによる呼吸器感染症で、冬季に流行します。
生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスの初感染を受けます。生涯、何回も繰り返し感染を受けます。
症状
4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻水、咳など風邪のような症状が数日続きます。多くは軽症で済みますが、ひどくなると肺炎や細気管支炎を起こします。 細気管支炎の例では喘鳴、多呼吸、陥没呼吸などを呈するようになります。
さらに重篤な合併症としては、無呼吸発作や急性脳症があります。
早産児、生後3カ月以内、心臓や肺に病気をもつ乳児、免疫不全が存在する児は、重症化のリスクがあります。
感染経路
RSウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。他のウイルス感染症に共通ですが、うがい、手洗いが予防になります。
症状のある人は、咳エチケットに心がけましょう。
治療
抗ウイルス薬、ワクチンはありません。対症療法になります。細気管支炎や肺炎を合併した児は、入院が必要になる場合もあります。ゼーゼーしたり、呼吸が苦しそうな場合は注意しましょう。
松本市医師会感染症対策委員会副委員長 水野 史
]]>
1、夏かぜ流行中!
夏本番になり、「咽頭結膜熱」、「手足口病」、「ヘルパンギーナ」が流行しはじめました。
これらは夏かぜ症候群といわれ、主に夏に流行する、ウイルスが原因の感染症です。
|
手足口病 |
ヘルパンギーナ |
咽頭結膜熱(プール熱) |
主な症状 |
口の中・手のひら・足の裏や甲・肘・膝などに2〜3mmの水疱性の発疹、発熱など |
急な高熱、咽頭痛、のどの奥の1〜2mmの水疱、口内炎など |
発熱、咽頭炎、結膜炎など |
原因となる病原体 |
コクサッキーウイルスエンテロウイルス |
コクサッキーウイルス |
アデノウイルス |
感染経路 |
接触感染、飛沫感染、糞口感染 | ||
潜伏期間 |
2〜7日 |
2〜7日 |
5〜7日 |
|
治った後も患者から3〜4週間程度便の中にウイルスが排泄される。 |
治った後も患者から3〜4週間程度便の中にウイルスが排泄される。 |
治った後も患者から3〜4週間程度便の中にウイルスが排泄される。 |
登校・登園の目安 |
発熱がなく(解熱後1日以上経過し)、普段の食事ができること |
発熱、咽頭炎、結膜炎などの主要症状が消失した後2日を経過するまで |
<原因と症状>
原因ウイルスによって、熱の出方、発疹の部位、その他の症状などが異なります。
同じ疾患でもウイルスの種類が多数あるため、一人が複数回かかったり、大人もかかります。
アデノウイルスのみ、ウイルスを抗原とする迅速キットが使用される場合があります。
<治療>
いずれもワクチン、特効薬(抗ウイルス薬)はありません。解熱鎮痛薬、鎮咳薬の使用など、対症療法のみとなります。
口の中を痛がるので、脱水にならないよう水分補給をこまめにしましょう。
<予防>
長期にウイルスが便の中に排泄されますので、流水による手洗い、特におむつ交換の後は、しっかり手洗いしましょう。
2、伝染性紅斑(りんご病)も流行しています。
ヒトパルボウイルス(HPV)B19が原因の疾患です。両側頬の発疹と、四肢のレース状、網目状の発疹が特徴です。皮膚のかゆみや関節痛、発熱を伴う場合があります。一旦消失して再び発疹が2 ~ 3週間後に出現することもあります。
ワクチン、特効薬はありません。症状に対する薬になります。
飛沫感染しますが、発疹期には感染力はほとんど消失しているので、発疹だけで全身状態のよい人は登校(園)可能です。
松本市医師会感染症対策委員会副委員長 水野 史